(2024/11/05 08:03登録)
(ネタバレなしです) 「ケンブリッジ大学の途切れた原稿の謎」(1995年)から10年以上の間を空けて2006年に発表されたイモ-ジェン・クワイシリーズ第3作の本格派推理小説です。イモージェンは金融業界の大物であるサー・ジュリアスが崖から転落死したニュースを新聞で知りますが、以前に彼と会った時に「わたしの命は安全とは言えない」と告げられていたことから事故死ではないのではと疑います。イモージェンがかつての恋人と出会い一緒に捜査するという展開に驚かされます。イモージェンの複雑な心境が随所で描かれ、謎解きと並行して2人の仲がどのようになるのかも読ませどころです。経済ミステリー的要素があって予想外の大掛かりな問題にまで発展するのも本書の特徴です。大胆な真相が用意されていますが、犯人からどうしてわかったのかと問われたイモ-ジェンは「当面、それを話す必要はないと思います」と推理説明してくれません。犯人当て以外に解決しなければいけない問題が山積みしているからというのは理解できるのですが、後になってもちゃんと解説してくれないのでは本格派の謎解きとしては中途半端に終わってしまった印象を受けました。
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