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ミステリの祭典

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処刑の丘

作家 ティモ・サンドベリ
出版日2017年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 YMY
(2024/09/30 22:14登録)
一九一七年にロシア革命の混乱に乗じて独立したものの血みどろの内戦状態に陥ったフィンランド。かつて赤衛隊と白衛隊が激戦を繰り広げたラハティにある虐殺の地で、一九二三年七月の深夜、一人の青年が処刑された。
酒の密売絡みの内輪もめとして処理する白衛隊支持者が支配的な警察にあって、赤・白いずれも与しない異端者・ケッキ巡査は、公正な捜査を行うべく孤軍奮闘する。
公共サウナのマッサージ師ヒルダをはじめ、孤独を愛する思索家と社会的な道化という二面性を持つ陽気な汚物汲み取り業者の男、理想的な社会の実現を夢見る工場労働者の若者、革命ロシアから逃れてきた薄幸の美女など、内戦終結後の苛酷的な社会にあって、たくましく生きる人々の言動は、心に一つ一つ沁みてくる。

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