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ミステリの祭典

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警官の酒場
道警シリーズ

作家 佐々木譲
出版日2024年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2024/09/15 20:23登録)
 闇バイトで知り合った男らが、強盗に入った資産家の家で思い余って家主を殺してしまった。強盗殺人の一報を受け、捜査に乗り出す道警本部の津久井巡査部長ら。一方同時期に札幌では、携帯電話の盗難事件が相次ぐ。捜査に当たった三課の佐伯警部補らは、厚真で起きた強盗殺人との関連を疑い出す―

<ネタバレ要素あり>
 物語序盤から、闇バイトで集った男らが犯罪を犯す場面が描かれていき、倒叙的な構成のストーリー。ただ中盤からは、ハジけてしまった実行犯の一人が予定外に殺人を重ねていってしまう展開により、真相がだんだん不明になっていく面白さがある。
 道警内で不遇をかこつているシリーズメンバーが、それぞれの部署でそれぞれに捜査している事案が、偶然にも結び付いていく、という構成は相変わらずだが、それが本シリーズの柱なので。
 しかし、津久井、佐伯、新宮、そして小島が、それぞれに新しい一歩を踏み出す決意をして終わる結末を読んで…読み通してきた身にとっては感慨に浸るものもあった。北海道、ジャズ、大人の恋愛、組織の体質…いろんな要素を上手く絡めて、武骨な筆致ながら心を打つ物語にまとめ上げてきた本シリーズ。よかった。

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