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ミステリの祭典

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サンセット・ブルヴァード殺人事件
女性私立探偵ロニー・ヴェンタナ

作家 グロリア・ホワイト
出版日2002年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 E-BANKER
(2024/09/14 13:00登録)
某古書店をブラついて、なんとなく手に取った本作。当然予備知識なし。
とりあえず訳者あとがきを読んでみると、女性探偵ロニー・ヴェンタナ久々の登場とある。どうやらシリーズ四作目のようです。
1997年の発表。

~サンフランシスコの女性探偵ロニー・ヴェンタナは、二十年前に交通事故で両親を失った。命日の深夜、事故現場に詣でた彼女の前に、一台の車が現れ、男性の死体を投げ捨ててゆく。被害者の身元も不明で、なぜか警察は捜査に熱心ではない。ロニーは目撃者の少女マリーナとともに事件を追い詰めるが・・・~

予想よりは面白かった。(まあ期待の水準が低かったせいもありますが・・・)
なによりサンフランシスコである。作中でも触れているけれど、ハードボイルドの始祖ハメットが選んだ舞台である。それだけでも心踊るというもの。実際、本作でもサンフランシスコの街中を飛び回ることとなる。
主人公である女性探偵ヴェンタナのキャラもなかなか良い。四作目ということもあるのか、キャラだちにブレがなく、魅力的に描かれていると思う。

メインテーマとなる事件そのものは特段込み入ったものではなく、悪く言えば単純なもの。
真犯人も最初からみえみえのところはあるので、そこら辺りは「ご愛敬」という感じかもしれない。まあよくある展開なのだが、警察VSヴェンタナという構図のなかで、協力者たちのサポートを得ながら、徐々に事件の核心に迫っていく。
ただ、惜しむらくはそれほどのピンチシーンがなかったことか。
こういうプロットだと「お約束」のように、終盤の最初辺り窮地に陥る、なんていうシーンがあるんだけどな。
作品に緊張感を出すという意味でも、ここら辺りは改善ポイントなのかも(エラそうに書いてますが・・・)

トータルでいうなら、まあよくまとまっている作品。ただ、それこそコナリーのハリー・ボッシュシリーズなとと比べると「数段落ちる」のは否めない。
逆に言えば、軽く楽しめる作品には仕上がっているとも言えるかな。そこは好みの問題だろう。

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