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ミステリの祭典

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沈黙の果て

作家 シャルロット・リンク
出版日2014年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 YMY
(2024/09/06 22:50登録)
イギリスにある別荘で休暇を過ごすため、ドイツからやってきた中年夫妻三組と、その子たち三名からなるグループ。物語中盤では、このうち実に五人が惨殺される事件が発生し、ミステリ的にはこれが焦点となる。
しかし本書でよりクローズドアップされ、印象に強く残るのは事件そのものではなく、このグループの歪んだ人間関係である。彼らの家庭はそれぞれに大きな問題を抱えているのだが、それ以前に明らかに様子がおかしいのである。家族よりもこのグループを優先する者もいれば、皮肉な目で人間関係を観察している者もおり、手前勝手な理屈でこのグループを事実上、リードする女性もいる。先依存とすら思える彼らの描写は、恐ろしいことに極めて克明でリアルだ。この人間関係には説得力がある。それが本書の最大に魅力だろう。

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