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ミステリの祭典

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少年は残酷な弓を射る

作家 ライオネル・シュライヴァー
出版日2012年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 YMY
(2024/09/06 22:41登録)
出産直後から、なぜか息子が不気味で仕方がない母親。母は、ふとした拍子の息子の視線に邪悪を感じ、断続して起きる不審な出来事に懸念と疑念を深め、息子が怪物であるとますます確信するようになる。周囲の人々への警告は、しかし聞き入れられず、息子はついに学校内で大量殺人を起こすのだった。
本書はその事件の後に、母親が夫に宛てた手紙の中で、昔を振り返るという体裁で進む。卓抜したストーリーテリングのもと、実子を愛せないばかりか、恐怖すら抱く母親の内面が、これ以上ないほど濃密に立ち上がってくる。
息子が怪物になったのは、母が感じる通り元々そうだったのか、母の愛が足りなかったためか。サイコサスペンスであると同時に、親子関係とは何かを深く抉る重い作品。

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