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ミステリの祭典

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詐欺師と詐欺師

作家 川瀬七緒
出版日2024年05月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2024/09/05 12:02登録)
 詐欺師バディの魅力的、ではないけれど目を離せなくなるキャラクター造形が上手いところを突いている。良い意味でキチンと、整然とした文体も好印象(例えばみちるなど、作家によってはグダグダな日本語不自由な喋り方にするだろう)。
 スマートに人を騙すヒントや注意点が色々まとめられていて、あなたも今日から詐欺師になれる。物騒なネタもチラついているが、藍には理性的に引いている一線があるし、コン・ゲーム的な騙し合いで着地するんだろう。
 ――と楽しく読んでいたらかなりびびった。おいおい、なんちゅう企みだ。復讐心とビッグ・マネーが結び付くとこんなんなるのか。
 最終的に何処までが計画で何処からが想定外か曖昧な嫌いはあるが、飲み込んだ錠剤が胃の中で実はコンクリート・ブロックだったと気付いた、みたいな気分で吐き気を押さえつつ拍手。

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