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ミステリの祭典

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地図にない沼

作家 佐賀潜
出版日1979年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2024/08/26 00:21登録)
自身のカッパ・ビジネスベストセラー「法律入門シリーズ」を連作ミステリ短篇化した様な一冊。
各話冒頭に、作品の肝となる「法令」がルーブリックの様に添えられている。これがストーリーの暗示になるのは、一面ではネタバレにも繋がるものの、それ以上に小説への興味を唆る側面が強く、結果的に良い導入になっていると言えましょう。

同じ業界等で繋がっている者同士、涼しい顔して熱砂の騙し合い顛末、と言った作品が目立ちますが、それぞれ切り口やストーリー展開に工夫があり、パターン類型化を闊達にしっかりと排斥しています。 何しろ中心に置かれる「法令」が各話で全て異なるのがミソなわけです。 ヤメ検弁護士たる著者の強みですね。

地図にない沼/誘拐事件調書/深夜の死亡時刻/不倫の穽(あな)/相姦の絆/柔肌の謀略/濡れた緑草地/隠し金六億八千万円/爛れた背徳

法律が齎すスリルそのものを、著者が上手に捌いてくれます。 法律の専門家ならではの、真相や何やらに纏わる具体的説明が何しろ熱いです。 誰が誰を騙して終わるのか、最後の残酷な畳み掛けに圧倒される作があります。 時間差カットバックを活かした人情話があります。 ラストにトリック対トリックの火花が散る話があります。 ざまあみさらせ、あきれた痛快コンゲームがあります。 ラストセンテンスの深さや意外さに唸る作も目立ちます。 リーダビリティは高く、軽さと重みを兼ね備えた独特の一冊と言えましょう。

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