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ミステリの祭典

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終焉の日

作家 ビクトル・デル・アルボル
出版日2019年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 YMY
(2024/08/11 22:25登録)
一九八一年二月、スペインで一部の軍人がクーデターを起こそうと下院に乱入したという史実をもとにしている。
弁護士マリアが刑務所送りにした悪徳警官セサルは、実は陰謀の犠牲者だったのか。セサルに会見し真実を探ろうとするマリアに、三十年前の事件に関わったある人物の魔の手が迫る。
マリアの父、別れた夫とその上司、セサルの行方不明の娘、政界の黒幕、母親を殺害された兄弟、ぶつかり合う数多くの人間の思惑、二重三重に入り乱れる復讐、増えてゆく新たな犠牲者の屍。親の因果が子に報い、登場人物の誰も幸せになれない悲劇的展開から、権力にしがみつく者の妄執が人間の運命を狂わせる恐ろしさ、おぞましさが滲み出す。深淵のように暗い物語だが、ずしりと重い手応えが感じられる。

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