(2026/03/11 07:23登録)
(ネタバレなしです) 「天使たちの長い夜」というサブタイトルを持つ2003年発表の本格派推理小説で、「センティメンタル・ブルー」(2001年)に続く「蒼の物語」です。「センティメンタル・ブルー」は4つの短編を収めた短編集でしたが本書は長編作品で、作中時代が「センティメンタル・ブルー」が1991年から2000年にかけてでしたが本書は1997年、薬師寺香澄が高校3年の時の事件です。登場人物リストには15人の高校生と被害者のみ、夏休中の事件ですが大人たちは食中毒で全員病院に運ばれているという強引な設定、しかも死体発見を警察に通報せず学生たちだけで事件捜査するというこれまた強引な設定です(笑)。群像ドラマを強く意識したようで、薬師寺も15人の中の1人という位置づけに留まり主人公不在です(或いは全員主人公?)。謎解き推理もありますが登場人物の屈折した心理描写に力を注いだ作品で、ミステリーだからといえばそれまでですが犯人以外の人物も明るいキャラクターがいないです(語り手の結城翳も役不足)。まあこの作者に東川篤哉の鯉ヶ窪学園探偵部シリーズみたいな愉快な雰囲気を求めてはいけないのですが。
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