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ミステリの祭典

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スラップスティック

作家 カート・ヴォネガット
出版日1979年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 糸色女少
(2024/08/04 21:43登録)
突然重力が強くなり、謎の疫病が蔓延し、アメリカ合衆国は分裂してミシガン国王やオクラホマ公爵らが跋扈し、紛争すら起こる。タイトル通り、滅茶苦茶になった世界でのドタバタを描く一方で、人間の常にあるべき姿を人工的な拡大家族に求めた。血縁のない人々を一つの集団に帰属させ、そこで小さな民主主義社会を作り、それらの集合体として社会全体を形成し、些細なことにも真剣に取り組めるような制度を整える。
疫病と分断、そして戦争。本作で描かれた世界の情勢は非常に過酷であると同時に、今日の現実の情勢にも酷似している。物語をそのまま現実に安易に敷衍することは憚れるが、作者が説いた理想、そしてその根底にある優しさは忘れてはならない。

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