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ミステリの祭典

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カインは言わなかった

作家 芦沢央
出版日2019年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 びーじぇー
(2024/07/21 21:46登録)
世界的な芸術監督が率いるダンスカンパニーの新作は「カインとアベル」が題材。その主役に抜擢された藤谷誠が、舞台の三日前に姿を消した。失踪直前と思われるタイミングで、誠から「カインに出られなくなった」とのメッセージを受けたあゆ子は、誠の行方を懸命に追い始める。
芸術監督、ダンサー、その弟の画家。いずれもデモニッシュで圧倒的な才能を示す個性派の芸術家たちを、そうでない人物たちの視点から描いている。
芸術家たちもそれ以外もピリピリとした極度の緊張感の中で動き、不安に囚われ、ともすれば悪しき方向に転落しそうになりながらもがく。そんな人々を様々に動かして、焦燥感に満ちた人間ドラマを紡ぎ出している。
終盤において強烈なサプライズを感じたその果てに、もう一つの衝撃が待っている。最後の四行に胸を打たれる。

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