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ミステリの祭典

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トラウマ文学館
頭木弘樹編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2019年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2024/07/18 11:40登録)
 ひどすぎるけど無視できない12の物語――そんな読み方もある、と新しい評価軸を提案するアンソロジー?
 ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』から一エピソードが抜粋されていてこれは面白かった。いや、語り手が実際に襲われていたらもっと良かったかも。
 深沢七郎の描く無差別殺人犯など “なんじゃそりゃ” なんだけど、こういう並びで読むと単なる脱力では片付けられない深みを覗き込んだような気になる。
 “セレクトのセンスによる付加価値” と言うのは有効なのだろうか。口の上手いセールスマンにまんまとセット商品を売り付けられたような感もあるが。単純に “ひどい話” と言うより、“どういう物語がトラウマになるか” の定義を問うている。

 人は皆、自分だけのトラウマ文学館を持っていて、それを他者に押し付けたい性質があるのかもしれない。いっひっひ。

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