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ミステリの祭典

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あいまいな遺書

作家 斎藤肇
出版日1991年08月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2024/08/04 19:40登録)
(ネタバレなしです) 1991年発表の本格派推理小説でプロット構成に凝っていますが、私の読解力レベルでは難解な作品でした。これから死ぬと電話で予告した推理作家の家に出版社の担当編集者が向かいます。別の出版社の編集者と途中で出会って2人で訪問すると推理作家は不在で、「あいまいな遺書」という原稿の入った封筒が残されていたというのが「小説は始まる。」というタイトルの序章です。ところが次章に進むと訪問したのは1人で、序章はどうやら作中作だったということに意表を突かれます。作中作の続きは世界ががらりと変わり、理性と狂気の間を行ったり来たりする主人公が描かれますがこの作中作は本格派らしさがなく、何が起きているのか描写も曖昧で幻想的な心理サスペンスの雰囲気が濃厚です。このためか現実世界の方も殺人事件まで起きているのに解くべき謎が何なのか焦点ぼけしているように感じました。「小説は終わる。」というタイトルの最終章もすっきりできません。TENZAN NOVELS版の巻末の作者による「あとがき」まで何を言いたいのか私には理解できませんでした。

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