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ミステリの祭典

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計画結婚

作家 白河三兎
出版日2017年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2024/07/09 14:57登録)
(ネタバレなし)
 横浜に係留された総トン数2400トン以上の豪華客船。その船上で、久曽神(きゅうそじん)静香の華燭の宴が開催されようとしていた。かなり人目を引く美女ながら、あまりに個性的な性格もあって32歳の現在まで結婚が遅れた静香。そんな彼女には同時に同性の友人も少なく、深い絆といえるのは「私」こと少女時代からの幼なじみだった佐古怜美(れいみ)しかいないはずだった。怜美は挙式の場で、以前からの顔なじみ、そして初対面の相手と新婦や新郎のことを話題にするが。

 徳間文庫版で読了。文庫の解説は、毎日新聞社の編集委員の肩書の内藤麻里子というヒトが書いてるが、ナチュラルに中盤のサプライズを記述しちゃってるので、本編を読み終わるまで目を通しちゃダメ(天然の××っぽい)。こーゆーのって徳間の編集も、もうちょっと書き方を工夫してください、と突っ返せばいいのである。プロなんだから。
(自分はあとから解説を読んだので、被害は免れたが。)

 久々に読む白河作品、今回はどんなかな、と思って手に取った……などということは実はまったくなく、今回は、私的に忙しい(?)なかでミステリ欠乏症気味だったので、読みやすそうな一冊を傍らの数百冊の未読の本の中から選んだ。
 そしたら改めて、ああ、この作品もやっぱ、白河作品だなあ! と当たり前の感慨に、読んでいくうちにすぐに捕われる。読み手もかなりアレである。白河先生、すみません(汗)。

 そーゆー無防備かつ、ある意味でかなり白紙の気分で読み始めた作品だが、中味は前述のようにとても作者の著作らしいものだった。
 ミステリのギミックから話のモチーフから、そして読者を饗応させるためにやってるのか、あるいはあくまで自分が書きたいので綴ってるのか、あるいはその両方なのか、と感じさせる、人間の弱さを感じさせながらも同時にその人間を好きになれるメッセージ性まで。あれこれ書く愚は避けたいが、うん、これは間違いなくいつもの期待の白川作品(繰り返すが、今回、当初はさほど、作者の名前や作風を意識しないで読み始めたのだ・笑&汗)。
 
 最後の方はエンターテインメント性をちょっと盛りすぎた感もないでもないが、ミステリが大人向けのおとぎ話の衣装をかぶるのなら、これはこれでまったくアリではあろう。
 ほぼ十年前に初めて出会って心打たれた際の白河作品の諸作の感触は、ちゃんとこの作品でも生きていた。
 とはいえ元版は2017年だから、もう結構前の旧刊なんだよな。単純に読み残していた旧作を楽しんだだけか。
 また改めて、最近の作者の作品も、そのうちもっと読んでみよう。

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