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ミステリの祭典

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風に散る煙
修道女フィデルマ

作家 ピーター・トレメイン
出版日2024年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2024/08/20 21:58登録)
(ネタバレなしです) 2001年発表の修道女フィデルマシリーズ第10作で、上下巻で出版された創元推理文庫版で「歴史的背景」や「訳注」も含めると550ページほどの厚さです。船でカンタベリーへ向かうフィデルマとエイダルフが嵐のためにウェールズ南西部のダヴェド王国に寄港して2つの事件に巻き込まれます。1つは少女殺し、もう1つは修道院から修道士たちが一人残らず消えてしまうという事件です。このシリーズは本格派推理小説と冒険スリラーのジャンルミックス型が多いですが、本書の場合は修道士失踪事件の解決を最後にしていて冒険スリラー要素の方が強い印象を受けました。登場人物リストに載っていない重要人物が何人もいるのはちょっと不満ですが、複雑で劇的な真相(というかたくらみ)が用意されています。殺人の謎解きの方はやや平凡ですが悲劇的な運命が重い余韻を残します。終章の「迷信」はE・S・ガードナーの「嘲笑うゴリラ」(1952年)の最終章を連想させますね。

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