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ミステリの祭典

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夜の警視庁
「警視庁の夜」シリーズ 栗林部長刑事役&本田部長刑事

作家 島田一男
出版日1980年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 斎藤警部
(2024/06/24 13:30登録)
日本の夏、昭和の夏に映えるは島田一男。 人気刑事ドラマ「警視庁の夜」で主役の捜査一課主任警部(部長刑事)を演じる俳優の栗林が、ドラマ撮影周辺の現実世界で起きる犯罪(ほとんど殺人)の真相を暴くシリーズ短篇集。 その表題でドラマタイトル通り「警視庁の夜」ってのが別にちゃんとあるのに、前後ひっくり返しただけみたいな「夜の警視庁」ってのが別にあるのはなんだか笑っちゃう。

凶音の輪舞/歪んだ円舞曲/蒼い葬送曲/悪霊の狂想曲/虚像の鎮魂曲/赤き血の独奏曲  (春陽文庫)

中でも特筆すべきは二篇。

悪霊の狂想曲 
これは深いねえ、悲しいねえ、いいねえ。 一方では深くて長いスパンの人間ドラマと、他方でクソ浅くクソ短小な(当事者の片方はそう思ってない)人間ドラマ、この二つが皮肉な、ミステリ視点ではある種ロジカルな衝突を起こした故に噴出した悲劇。 

赤き血の独奏曲
俳優の不慮の死に応じてストーリー設定や脚本や撮影スケジュールを、工夫を凝らしパズルの様に組み替えて行く様は面白かった。ネタは「アレ」と見せかけて実は更に悪どい裏側が・・と期待したものだが。。 この真相もドラマが深くて悪かない。 最後の、ソナタ【独奏曲】(←この逆ルビはおかしい)に寄せたホワイダニット大演説はちょいと笑わせなくもないが、そのへんの急に大上段になる感じもまたよろし。

同シリーズ別作品の評でも書いたけど、芸能界で有名スター絡みの殺人スキャンダルが頻発し過ぎで笑います。こりゃあつまり、克美しげる事件や◯あ◯子事件(?)みたいな爆弾が年に五、六回のペースで落とされる異常事態って事ですよね。

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