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ミステリの祭典

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誠実な詐欺師

作家 トーベ・ヤンソン
出版日1995年12月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 斎藤警部
(2024/06/22 16:11登録)
戻って来たら、同じ所じゃなかった。。。 数の煙幕の向こうに鮮やかな景色を見る事の出来る “数字に強い” 若い女性カトリは或る事情から経済的窮地に立たされ、打開策として近所に住む小金持ちの老いた絵本画家アンナの秘書となり、弟で少し頭の弱い、海での冒険に憧れるマッツと共に住み込みの身となる。 財政的にアンナの役に立ち、その余禄でマッツへ “ボート” をプレゼントしようとするカトリは、嫌がるアンナを押し切って連れてきた愛犬と共に、或る企みを成就べく、“その” 仕事に取り掛かる。

私は飛行機でフィンランド上空の独特な景色に差し掛かると「あのへんにムーミン谷があるんじゃなかろうか?」と妄想で萌え萌えしてしまうタチなんですが、この北極圏のお話は大事な何かがすれ違ったみたいで、強くアピールはしてくれませんでした。 書評を見ると好きな人はずいぶん好きみたいで、それこそミステリーやサイコサスペンス、或いは哲学書のような文脈で推す方も多い様です。 個人的には、もしスナフキンが “そこ” に居合わせたら、鼻先でスンと哀しんで立ち去るんじゃなかろうか、って所でしたね。 ラストシーンはちょいとジワるし、”過払い金” の奪還を思わせるアレは確かに面白かったんですけどねえ。

「手紙ねえ・・・・・・」
「一通だけ。ただし書類戸棚にはしまいこまないで。わたしの誤りを証明する手紙だから。自分でいったじゃない、わたしは数字を弾いて証明できるって。わたしの誤りを隅から隅まで納得させてみせる」

最後のムーミンから十年余り経った1982年のトーベ・ヤンソン長篇です。

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