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ミステリの祭典

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ドキュメント 女子割礼

作家 内海夏子
出版日2003年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2024/06/17 22:13登録)
アフリカ北部に今も幅広く残る女子性器切除の風習。気鋭の女性フォトジャーナリストがたびたび現地を訪れ、当事者たちを取材。廃絶に向けての多様な活動を紹介しながら、現状を検証する。
Amazon内容紹介より。

大変勉強になりました。私は男子の割礼は幼い頃から知っていましたが、寡聞にして女子の割礼はこの本に出合うまで知りませんでした。そんな自分を叱ってやりたい気持ちです。
まず女子割礼は大きく4タイプに分かれます。タイプ1は女性器の一部(最も敏感な個所)を切除するもの。タイプ2は女性器の大部分を切除するもの。タイプ3は女性器を封鎖し排尿と生理の為の穴だけ残すもの。タイプ4はその他となっています。これらは5歳から15歳位の少女に対して半強制的に行われます。それを望む少女も多いのが現状です。しかし、後遺症として、高熱や激痛、感染症、生理不順、心理的ダメージなどが挙げられ、最悪の場合死に至るとされています。
本書が出版された当時、エジプトを含むアフリカの28ヶ国でいずれかの割礼が行われていました。現在もそれは続いているケースがほとんどの様です。

私が最も疑念を抱いたのは、やはり何故そんな野蛮で酷いことが平然と行わているのかという事でした。その理由は処女性を保つ為、女性の性欲抑制の為、幸せな結婚をする為、醜い(勿論私はそう思わないが)器官を見栄え良くする為など、古くからの慣習から来るものと言われています。
割礼に反対する団体やNGOが様々な角度から割礼撲滅を目指しアプローチする運動も描かれています。しかし、イスラム教が誕生する遥か以前から行われてきた慣習を止める事に反対する住民の声が多く挙がり、思う様に進まないのが現状です。私見では国連やWHOが介入しないのか、或いは出来ないのかとの思いが強いですね。それぞれの国の問題だからと言われてしまうと黙るしかないのでしょうか。現状を知っても何も行動できない自分が非常にもどかしいのですが、まず女性の地位向上が何よりも早急に進むことを望むしかないです。主に男の都合で始まった儀礼であるのは間違いなく、男女平等の気運が世界的に広がる事を祈ります。

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