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ミステリの祭典

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本性
宮下真人刑事

作家 伊岡瞬
出版日2018年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2024/06/05 23:08登録)
 お見合いパーティで「サトウミキ」なる女性に出会い、ぞっこんになった40歳独身・尚之。順調に見えた交際が、結婚の話が進むにつれて不穏な雰囲気に。第二章では、アルバイトで食いつなぐ若者の前に、誘いをかける妖艶な女性として「サトウミキ」が登場。章を追うごとにさまざまな姿で現れる彼女とその物語が、やがて過去にあった一つの事件に結び付いていく。

 リーダビリティの高い筆致で、動的な展開に惹かれ続けて読み進めた。章が進むにつれ、漠然と全体の仕掛けは見えてきて、しかもおおよそハズれていないので、意外性という点では高くはない。さらに終盤では、事件を追ってきた刑事・安井の隠されていた過去がやや急に開陳され、そのことによって物語が急展開する。
 総じて読ませる魅力的な展開であることは間違いなく、楽しい読書体験ではある。ミステリとしては「順調に」(言い方を変えれば強い意外性はなく)まとまっているサスペンスといえ、この評価が落としどころ。

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