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ミステリの祭典

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完璧な涙

作家 神林長平
出版日1990年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 糸色女少
(2024/05/30 21:31登録)
感情を持たない宥現は、砂漠で魔姫という女生と出会い、発掘された無人戦車に追われる。あえて分類するなら時間SFだろうが、「過去と未来」という観念を具体化し、「現在」を挟んで争わせるというアクロバティックなアイデアはいかにも神林SFらしい。
作者の初期に描かれた「主観時間」という観念を「感情」と結びつけてあらためて規定し、「時間が感情に基づく主観であれば、他者との時間との共有とは?」という問い掛けが通じ「自己と他者」、そしてコミュニケーションについての思索が展開される。
自身が死者であると自覚する人々、兵器の機動にまつわるテクニカルタームの用い方など、作者の他作品と共通するアイデアや語り口が惜しみなく投入されている。

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