猿神 |
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作家 | 太田忠司 |
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出版日 | 2020年08月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | 虫暮部 | |
(2025/06/13 14:31登録) あの頃はこんなのがあったなぁ、と言う懐かしネタは、自分が知らない時代のものは興味深いが、記憶にあるものは鬱陶しい。と言うことで、作者のせいではまぁないけれど、バブル期云々の時代背景的要素はパスしたいし紋切型だなぁと思う。 ホラーとしても、書き方が達者なせいで却って引っ掛かりに乏しい。でも、事態のキッチリした解明や解決を示さない有耶無耶な怪異の描き方こそが狙いにも思えるし、それは成功しているのだろう。 |
No.1 | 5点 | ROM大臣 | |
(2024/05/28 12:47登録) 作者の実体験をもとに、バブル期の闇とその背後に見え隠れする怪異を描く。 生産ラインの停止という強迫観念に囚われるあまり異常な状況もごく当たり前に受け入れ、破局に向かって進んでいく心象風景は、日本社会が今に至るまで繰り返してきた、きわめて現実的な恐怖だが、そこに古よりの忌地に潜む正体不明の存在が二重映しになることで、出て行きたくても出て行けない幽霊屋敷譚の変種へと昇華される。ホラーが現実を歪めて映し出し、現実がホラーにリアリティを与える社会派ホラーの異色作。 |