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ミステリの祭典

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帝都争乱 サーベル警視庁2
サーベル警視庁シリーズ

作家 今野敏
出版日2020年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 びーじぇー
(2024/05/18 20:23登録)
前作から予想された通り、日比谷焼打事件を背景に物語が展開され、鳥居部長をはじめ、個性豊かな「賊軍」出身の巡査たちが再び大活躍を見せる。彼らの働きにより、被害者は玄洋社と関わりの深い黒龍会に所属する人物と判明する。
彼らは「騒擾による死亡」として事件に蓋をすることも、国家権力と結びついた団体に忖度することもなく捜査を進めていく。そして黒龍会主幹の内田良平と対峙するのは警視庁に協力する藤田五郎老人である。彼の正体は元新選組の斎藤一。あまたの死地をかいくぐってきた、剣の達人の名場面が再び用意されている。
事件の背後から、藩閥政治の弊害と、帝国主義的な国家政策が炙りだされる。それは重税にあえぐ庶民の犠牲の上に成り立っており、昭和二十年の敗戦に至るまでの道筋を垣間見ることもでき、史実を巧みに取り入れている。

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