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ミステリの祭典

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ポイズン 毒 POISON

作家 赤川次郎
出版日1981年08月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 パメル
(2024/05/14 19:28登録)
毒というアイテムを触媒にして、人間の潜在的な悪意を描いた4編からなる連作短編集。
わずか一滴飲んだだけで心臓麻痺で死に至り、いかなる科学捜査でも検出は不可能。しかも効果が出るのは、飲んでから24時間後。そんな完全犯罪を約束する究極の毒薬が、大学の研究室から消えた。
「男が恋人を殺すとき」雑誌記者の秋本俊二は、大学の研究室に勤める恋人の笹田直子から究極の毒薬のことを教えられ、秋本はある目的のために毒薬を盗み出す。ある意味、ミステリではありふれた動機で今ひとつ。
「刑事が容疑者を殺すとき」刑事の中野は、自分がかつて取り調べた原田からの報復を恐れ毒を使って原田を殺害しようとする。子供を思う親の愛情が胸に迫るが、少々暴走気味では。絶望感漂うラストに呆然。
「スターがファンを殺すとき」人気アイドルの牧本弥生は、所属事務所が弥生に見切りをつけ、次のスターを売り出そうとしているとファンから教えられる。弥生は、毒を使って後輩を殺そうとする。世間知らずで我儘な娘の破滅の物語。最後の一行が印象的。
「ボーイが客を殺すとき」ホテルマンとして働く笹谷は、無政府主義のテロリストでもあった。総理大臣の息子の結婚式で、毒を用いて政府要人を暗殺しようとする。無理矢理収拾をつけたようなところもあり、ご都合主義な感は否めない。

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