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ミステリの祭典

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悦楽園

作家 皆川博子
出版日1994年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2024/05/16 13:17登録)
 皆川博子が雑誌に発表した初期短編は、作者本人に “書き捨て” みたいな気持もあったようで、短編集への収録状況がちょっと面倒なことになっている。どうすれば効率的にコンプリート出来るのか。まぁ編集時に秀作からピック・アップするのは自然だし、二度出会ったら二度読めば良い。
 本書は1974~85年の短編集4冊からの6編と、単行本初収録4編を併せた、94年刊行の初期傑作選。後者4編は『鎖と罠』(2017年)にも再録されており、“本書でしか読めない話” は無い。

 導入部での入りづらさは若干あるものの、その一山を越えれば、悪意が普通のことのようにシレッと書かれる独特の手際、特に「獣舎のスキャット」の一人称は効く。初短編集『トマト・ゲーム』に収録されていたものの、作者曰く “あまりに不健康かなァと、自粛” して文庫化の際に差し替えたそうな(ハヤカワ文庫版では復帰)。いやいや他の作品だって大して変わりませんよ。

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