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ミステリの祭典

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残紅

作家 連城三紀彦
出版日1985年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 みりん
(2024/05/03 13:26登録)
連城三紀彦の第4長編 
わりと初期作品(1985年刊行)なのに、なぜ1件も書評がないのか疑問に思っていたが読んで納得。ミステリ要素は皆無の完全なる恋愛小説だった。初期作なだけあって、文学の香りは芳醇。
あとがきによると、実在の歌人である原阿佐緒(1888-1961)の半生を脚色して小説にしたらしい。なので時代は大正。男性優位社会が根付いているこの時代に、魔性の女の悲劇的な半生を叙情あふれる文章で読ませます。恋愛小説ではありますが、心理サスペンス小説といっても良いかもしれませんね。
主人公麻緒は美しいだけでそこまで悪女ではないし、悪いのは完全に男達だけどさあ…いくらなんでもリスクヘッジができてないよ麻緒さん。まあ恋愛小説にそんなこと言い出したら話が進まないのでダメですがね。
"あれほど執着し、そのために泣いた男たちも、所詮は次の停留場まで乗り合わせるだけの客と変わらないのだった"
↑がこの物語の1番大事なところです(たぶん)

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