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ミステリの祭典

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時の睡蓮を摘みに

作家 葉山博子
出版日2023年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 虫暮部
(2024/04/25 11:46登録)
 小川哲『地図と拳』の普及版て感じ。劣化版と言う意味ではなく、短めに打ち切っているので疲労困憊する前に読み切れると言う意味で。
 1940年前後のインドシナ界隈を疑似体験した気分になれる筆力は評価出来る。ここまで “学ばない” 主人公を描ける作者の冷徹さも瞠目に値するだろう。何やってんだ鞠!
 一方で、そのしっかりした筆致のせいで或る種の鈍重さが物語の足許に纏わり付いてしまったのも否めない。頑張って読んだのだからそれに見合うサプライズを、と期待してしまうのはエンタメ読者の悪しき性だろうか。

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