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ミステリの祭典

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主婦病

作家 森美樹
出版日2015年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2024/04/12 19:48登録)
みんな異常で、みんないい。 なかなかに女くさい日常のサスペンス連作短篇集。 後半に進むにつれ連作の企みの怖さが滲みて来ます。 目を惹くいいフレーズが惜しみなく散りばめられ、フラッシュバックなど緻密な技巧がごく自然ななりで溶け込んでいます。 各話の主人公は、方向や程度の差はあれ、如何にも危ういバランスの上で一見平穏な日々を過ごす主婦達(おっと、一作だけ例外が・・・)。 意外な?『狂言回し』の存在が鈍色の光を見せるのも特色。その人のバイト遍歴?含めた『時系列』も気になる、と言うかちょっとハッとするね、最後まで読むと。 中にはちょいと顔と鼻を顰めてしまう、エグいシーンもあった。 やさしいシーンも当然あった。 ギョッとする逸話もそこかしこ。 ミステリの空気漂う領域に大きく踏み出す場面も際立つ。 最終話、それまでの話の経緯を踏まえ、主人公の或る属性に鑑みれば、最後はきっとああなっちゃうんだよなあ、と予測を立てずにいられませんよね。。 まあ最終話だけ、主人公の境遇が他と大きく異なるせいもあってか、ちょっくらドタバタしたユーモアが見え過ぎの気もあったけど、終盤そこから大きくカーブを切って、この『結末』に至るというね。。

眠る無花果/まばたきがスイッチ/さざなみを抱く/森と蜜/まだ宵の口/月影の背中

さざ波は、目の前に立っている。 ミステリの叙◯ギミック・トリック方法論を大胆に堅実に消化・展開して、頼りになる味方として文中に忍び込ませた、心揺さぶる文芸パラミステリ連作短篇集と言えましょう。

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