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ミステリの祭典

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野獣世代

作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日不明
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 クリスティ再読
(2024/04/06 18:56登録)
後期ボア&ナルというと、それまでの心理主義サスペンスの中にトリッキーな罠が仕掛けてある、というスタイルから脱却して、よりプロット重視の動きの多いスタイルに切り替わる。本作なんてその典型で、主人公は15歳の悪童。でも自分をイジメる若い女性数学教師への仕返しみたいな、悪戯の延長線での誘拐・監禁事件を起こした顛末がこの小説。

当初2日監禁して許してやる予定だった。もちろん一人じゃ誘拐・監禁なんてやってのけれない。相棒がいる。でもその相棒が交通事故で瀕死の重傷...一人になった主人公は、そのままズルズルと監禁を続けることになってしまう。そうなると誘拐した教師への「子供」な甘えも覗かせるようになって、依存関係めいた心理の泥沼にハマっていく....だからそういうあたりは、なるほどボア&ナルっぽい。そして当初取る気もなかった身代金も、捜査攪乱のために要求するハメになる。

この身代金を巡るトリックはなかなか面白い仕掛け。そして意外な展開と結末。なかなか面白く読める。中期のグダグダした作品よりも評者は好感。
子供ってケダモノみたいな部分ってあるものだが、ヘンに甘えた心理の側にリアリティがあって「野獣世代」って皮肉かいな?という気持ちにもなる(苦笑)

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