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ミステリの祭典

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密会

作家 笹沢左保
出版日1984年08月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 人並由真
(2024/04/02 08:08登録)
(ネタバレなし)
「昭和海上火災」の美人OLで23歳の沖本奈美子は、ある目的を秘めて一人の男に近づく。だがその計画は相手との繰り返させる密会のなかで、次第に当初の意味と最終到達点を変えていった。そんななか、彼女たちの周囲で殺人事件が起きる。

 「オール読物」の昭和56年2月号~翌年1月号に連載され、1982年に文芸春秋から書籍化された長編。評者は文庫版で読了。

 例によっての若いヒロインが主役の不倫官能サスペンス。呼び方はエロでもポルノでもいいが、例によって妙にマジメな筆致の性愛描写なので、やはり官能小説ミステリという言葉が一番しっくりくる。

 扇情的ないやらしさをさほど感じさせずにイッキに読ませてしまう筆力はもはや円熟の名人芸で、それはそれで評価。
 ミステリとしては小味だが、最後に明かされる事件の真相にはちょっと意外性はある(勘のいいヒトは先読み可能かもしれないが)。
 
 ただし最後のサプライズは、正にそのサプライズのためのサプライズという感じで、劇中のリアリティとか当該人物の思考の成り行きとか慮ると、おいおい……それはないんじゃないの? という思いであった。

 もう二時間、短めの長編が一本読みたい、というワガママな希求に応えてくれた有難い作品で、読んでるうちはそれなりに楽しめた。
 ただまあ、笹沢作品のなかで優先的にこれを読む必要はないだろう。評判の良い未読のものがあるなら、そちらからどうぞ。
(といいつつ、ミステリって秀作~優秀作ばっか選んで読むものじゃ決してないと思うけどね。常にイージーゴーイング&おのれのスタイル~ただし他の方へのネタバレは注意で~で読めばよいと思う。)

「まあ、楽しめ」ました。

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