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ミステリの祭典

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少女が最後に見た蛍
<仲田・真壁>シリーズ

作家 天祢涼
出版日2023年11月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 HORNET
(2024/02/13 20:50登録)
 神奈川県警生活安全課の婦警・仲田蛍。弁護士になるために「軍師」キャラで高校生活をやり過ごそうとしている正義感の強い少年が目撃した、同級のいじめっ子のひったくり強盗(十七歳の目撃)。両親を思う気持ちゆえに、SNS上の言動から国会議員宅に暴挙を仕掛けた少年(言の葉)。青少年の心に寄り添い、理解しながらも正しい道へ導こうとする警察官・蛍のどこか心が温まる連作短編集。

 有名ランキング等で華々しく耳目を集めてはいるわけではないが、天祢涼は個人的に非常に信頼を置いている作家である。読みやすい文体、リーダビリティの高い構成、満足感の高い結末。本短編集も、その期待に沿う快作といえる。シリーズものの主人公が、青少年時代から異彩を放つ存在であった、という体はまぁよくあるパターンではあるが、どんな作品を読んでもそのたびに面白いのだからよい。
 表題作以外は人が死ぬこともない、いわゆる「日常の謎」(犯罪はあるが…)のような作品集だが、「殺人」という極端で分かりやすいミステリではない題材で、ミステリとして仕上げるのはかなりの腕前が必要なのではないか、と本作のような短編集を読むとつくづく感じる。
 いずれにせよ、好きなシリーズ(そして作家)になっている。そしてハズれないという信頼もある。本作以降も期待したい。

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