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ミステリの祭典

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アンリアル

作家 長浦京
出版日2023年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 HORNET
(2024/02/13 20:25登録)
 両親の死の真相を探るため、警察官となった19歳の沖野修也。警察学校在校中、二件の未解決事件を解決に導いたが、推理遊び扱いされ組織からは嫌悪の目を向けられていた。その目は、暗がりの中で身構える猫のように赤く光って見えるー。それが、沖野の持つ「特質」だった。ある日、「内閣府国際平和協力本部事務局分室 国際交流課二係」という聞きなれない部署への出向を命じられた。そこは人知れず、諜報、防諜を行う、スパイ組織であったー。(「BOOK」データベースより)

 「悪意、敵意をもっている人間の目が赤く光って見える」という特異能力を有する主人公の、SF?特殊設定?仕立ての、スパイ小説。
 こうした仕立ての作品によくあるように、登場人物たちが超人的な技能をもちながら、ある意味「淡々と」それを行使し日常業務的に過ごしている。毒殺や爆殺の危険がそこかしこにありながら、その先の先を読んで防護したり、仕掛けたりとか。まぁ現実的にはありえないスペシャリスト感なのだが、「現実的にはあり得ないスペシャリスト感」だからこそ面白いのであって。ある意味アニメ的な。
 ということで、小気味よく面白かったことは間違いない。ただ、主人公の一番の核である「事故死とされた両親の真相」が、結局何ら解明されないまま終わっているのはいかがなものか。続編へと続くということなのだろうか。だとしてもこの問題は、本作の中で完結しておくべきだったのでは…と思う。

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