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ミステリの祭典

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サファイアの春

作家 ジルベール・シヌエ
出版日1998年04月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 猫サーカス
(2024/02/04 18:26登録)
一四八七年のトレド。キリスト教異端審問所の最高議会で、隠れユダヤ教徒アベンが有罪の判決を受け火刑になった。数日後、ユダヤ教徒サムエル、イスラム教徒イブン、キリスト教徒バルガスの三人に、アベンからの暗号が届く。「神のメッセージ」が隠された秘宝の隠し場所を示していた。暗号を解読しつつ、動乱のイベリヤ半島を旅する三人を、異端審問長官の執拗な追跡が続く。現代でも中世そのままのトレド、イスラムの砦としてキリスト教とせめぎ合うグラナダ等、スペイン独特の風土を背景に、世界三大宗教の聖典、史実が溢れた謎解きは楽しい。だが、神の遺した究極のものを探すという話の結末は、どうしても尻つぼみになりがち。さらに歴史ものには欲しい重層した人物描写の重みや葛藤が希薄で物足りず、懐かしい宝探し冒険譚に終わっている。

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