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ミステリの祭典

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分類項目:殺人
リーア・ハンター・リポート

作家 サラ・レイシー
出版日1994年11月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 nukkam
(2024/06/15 18:52登録)
(ネタバレなしです) 1990年に作家デビューした英国のケイ・ミッチェル(1941年生まれ)は1998年までにミッチェル名義でモリッセー主任警部シリーズを5作、サラ・レイシー名義で税務調査官リーア・ハンターシリーズ5作を発表しましたがそれ以降は活躍していないようです。森英俊編著の「世界ミステリ作家辞典『本格派編』」(1998年)ではモリッセー主任警部シリーズによさげな本格派推理小説がありそうに紹介されていますが、1992年発表のリーア・ハンターシリーズ第1作である本書は(個人的には残念ながら)本格派要素はあまりありません。突然の雨をしのぐために美術館へ飛び込んだリーアと偶然話し相手になった男性が美術館の外へ出た途端に倒れて死んでしまいます。警察の制止を無視するかのように事件を調べていくリーアは何度も襲撃を受けますが、ドライで洗練された文章で描かれているためかサスペンスはいまひとつです。「すべての断片があるべき場所にひとつずつ収まっていくのがわかったのだ」と本格派の謎解きを期待させるところもありますがきちんとした推理説明がないままに事件の秘密にたどり着いています。襲撃者(たち?)が黒幕の手先っぽいなど組織犯罪色が濃く、28章でリーアが株主リストで発見した重要人物が登場人物リストに載っていないというのも本格派好きの私には合わない作品でした。文章が読み易いのと税務調査官を主人公にしながらも敷居が高すぎないのはよいのですが。

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