ビター・メモリー ヴィク |
---|
作家 | サラ・パレツキー |
---|---|
出版日 | 2006年05月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 7点 | レッドキング | |
(2025/08/18 22:03登録) ヴィクシリーズ第十弾。キンジーシリーズ”E”の巻同様、保険金詐欺事件が主幹。が、そこは、グラフトンに比べて重層的なパレツキー、旧ユダヤ難民の失われた過去探求譚が隣立し、ユダヤ人問題(欧州での迫害)と黒人問題(米国での差別)が背景を成す。E・トッド言うところの「黒人を向こう側に疎外する事によって、ユダヤ人を(欧州とは違い)こちら側に許容した米国」の深刻なディレンマ。もしかしたら、" 日本人(および東アジア人)を疎外する事によって、黒人を仲間として許容した ”てなパラレル別歴史も有り得たかもしれん米国。さらに、「催眠療法による抑圧された忘却の追想」 vs 「誘導により虚構された偽の追想」論争のテーマまでが重層し、すごいなぁ、サラ・パレツキー。たんなるハードボイルドを大きく超えちゃってる。 |