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ミステリの祭典

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闇狩り師
闇狩り師シリーズ

作家 夢枕獏
出版日1984年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 クリスティ再読
(2024/01/24 13:46登録)
ややミステリ色は薄いけど、80年代に大流行した伝奇バイオレンスのオリジネーターだもんねえ。面白さだったら保証付きみたいなもの。「伝奇バイオレンス」ってジャンルはホラーもオカルトもSFもアクションも謎解きもエロも剣豪小説もハードボイルドも全部ブチ込んだものだったわけで、何でもアリな世界観がウケたんだ、という気も今にしてみれば、する。
このシリーズあたりがオカルトホラー色が一番強いんじゃないかな。妖怪系といったらいいか。「蛟」やら「くだぎつね」といったそのものスバリなタイトルの作品も収録したシリーズ開始の短編集である。怪異に対抗するヒーローはと言えば、2m超えの岩石のような大男の九十九乱蔵。トヨタ・ランドクルーザーに乗って肩に猫又のシャモンを乗っけて仙道と「八卦掌の原型」と言われる拳法を使う「祟られ屋」。
なかなかこのヒーロー造形がナイスで、とにかく印象に残る。

この「伝奇バイオレンス」の先駆を考えてみると、風太郎も半村良もそうだし、ウルフガイも先行する。評者そのうちウルフガイやろうと思っているよ...でも、この九十九乱蔵を久々に読んで、連想したのは実は山田正紀の「謀殺のチェス・ゲーム」に登場した佐伯だったりする。自衛隊レンジャーのライバル立花に対抗し、チェスの「駒」として死闘を繰り広げるフリーのワンマンアーミー。九十九のランクル・アクションだって、「チェスゲーム」の大型トレーラーvs戦闘ヘリの描写を思い出す瞬間がある。いやそうしてみると、山田正紀だって「伝奇バイオレンス」の先駆者と言っていい?

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