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ミステリの祭典

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幻影の構成

作家 眉村卓
出版日1973年03月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 糸色女少
(2024/01/23 21:25登録)
舞台は二〇二〇年、人々はイミジェックスと呼ばれる端末の情報だけを信じて生活していた。配信は中央市にある企業体が行っている。それは現実に見えるものさえ歪めてしまう。繫栄する都会の光景は、実は廃墟に近いみすぼらしいものだった。偶然秘密を知った下級市民の主人公は、スラムに隠れ住む自由民たちのグループに合流すると、束縛からの解放を目指して立ち上がる。
一九六六年に書かれた第三長編の文庫化作品。会社が国家を超えて人々をコントロールするなんて非現実的と、発売当時は批判されたが、今のGAFAなどは本書で描かれた企業のシミュラクラのようだ。グローバル企業による情報支配を予見したとみなせる、先駆的な作品。

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