瀬越家殺人事件 |
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作家 | 竹本健治 |
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出版日 | 2023年11月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | |
(2024/01/18 21:35登録) (ネタバレなし) 「我」こと探偵・納谷治楼(なや・ぢろう)は、断崖を背にそびえ立つ富豪・瀬越萬堂(せごえ・まんどう)屋敷に招かれた。瀬越家には美しい三人の令嬢がいたが、その姉妹を誘拐するという不敵な謎の予告状があったのである。やがて屋敷の壁の中から、発見されたものとは……。 新書判よりやや大きめの横綴じハードカバーで、全部で50ページちょっとという作品。 単品の作品で広義の長編? といえるか……いや、やっぱ無理かな……だけど、もともと作者が「いろは四十八文字」で、それぞれ本文の最初の1文字目が始まる場面(叙述)のページを四十八枚並べて、一本の物語を構成。さらにそのページごとに自分でその場面のさし絵を描くという、趣味的な趣向の一冊にしている。 要は当初から奇書狙い、変わった本を作るのが目的の作品。つまりは、いろはカルタの読み札と絵札のセットを48組並べて、一本の謎解きミステリを構成したと思えばよい。 とはいえさすがに『旧・必殺仕置人』のサブタイトルみたいに「いろはにほへとちりぬるを……」の順番で最初の文字を並べる、そう言う縛りではお話は作れなかったようで、最終的に四十八字全部は使い切ってはいるようだが、その使用順は順不同である。 いや、それでも作者は十分に苦労したと察するけれど。 ミステリとしては他愛ない中身だけど(戦前の国産の某長編を思い出した)、まあそんな尺度でどうこういう内容じゃないよね。 遊び心に微笑んで、6点。 |