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ミステリの祭典

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作家 ティリ―・ウォルデン
出版日2023年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 まだ中学生(仮)
(2023/10/25 22:38登録)
前半は現代米国を舞台にしたヤングアダルト小説そのままの展開。主人公は家にいられなくなった、自称18歳の女の子ビーと20代の初めから働き続けたあげく「今は麻痺したみたいに動けなくなったって」という車の整備工で27歳の女性ルー。
二人はルーの車でテキサス州を走ることになるのだが、お互い自分のことはあまり話さず、ぎこちない関係が続く。やがて少しずつ打ち解けそうになった時、不思議な猫を拾ったことがきっかけで、不気味な連中に追いかけられるようになる。
こういった流れに乗って、空や町や道など、まわりの情景が生き物のように動き、色がダイナミックに変わっていく。特に中盤当たり、派手なカーチェイスの場面から、二人が理解し合う廃屋のプールへの転換は息をのむほど見事。相手を思う気持ちが言葉にも絵にも美しく映し出される。「小説+絵」の楽しさがここにある。

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