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ミステリの祭典

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ひかりごけ

作家 武田泰淳
出版日1964年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2023/10/20 12:47登録)
 新潮文庫版。「流人島にて」「異形の者」「海肌の匂い」「ひかりごけ」収録。
 目当ての表題作をまず読んでしまう。そんな軽薄な解釈をするなと怒られそうだけど、終わってみるとこれは奇妙な味の法廷劇。もっともほぼ被告人の告白のみに頼って論争している裁判は茶番っぽい。“光の輪” は見事な効果を上げており、“読む戯曲” と言う形式は必然的な選択なのだなぁ。
 ところで人肉食って何罪? それしかないなら私は人肉でも食べると思う。

 勢いが付いたので「流人島にて」を遠慮無くサスペンスとして読む。オチは弱いが、薄皮を一枚一枚剥くような語り口がスリリング。
 あとの2編はまぁ純文学、なのだろうが、水面下の波乱を必死で抑えているような緊張感はミステリ要素の無いサスペンスとでも言えそうで、どこまで書くか、どこで切るか、作者と戦っているような気分だった。

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