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ミステリの祭典

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adabana -徒花-

作家 NON
出版日2020年08月
平均点9.00点
書評数1人

No.1 9点 みりん
(2023/10/19 01:31登録)
雪積もる小さな町で、猟奇的な殺人事件が起こる――。身体を切断された被害者は女子高生・五十嵐真子。そして、犯人として警察に自首して来たのは、同級生の藍川美月。犯行を供述する美月だが、そこにはある違和感が…!? 闇に抗う2人の少女の“秘密”をめぐる、リアル・サスペンス!!
(Amazonより)

(上)(中)(下)3巻構成の漫画です。本当に読むのが辛いですよこの作品。
どこかリアリティのある物語と絵の力が相まって、ラスト12ページを読んだ時の感情は私の言語力では伝えきれません。あまりのやるせなさに数日は引き摺る物語でした。ミステリ的サプライズは乏しいですが、小説では味わえない漫画の良さを最大限に引き出した傑作だと思います。
『蝶の墓標』を読んで真っ先にこの作品を思い出したので登録しておきました。

高校生藍川美月が親友だった五十嵐真子を惨殺したと自首するシーンから始まるサスペンス漫画であり、ドキュメンタリー映画のような作品でもあります。NON先生は表情を描くのがとても上手く、回想シーンで真子が容赦なく追い込まれ、段々とやつれていく過程は何度読んでも辛くなります…… 美月は何を考えているのか分からず、百面相のように表情が変わる。その不気味さに引っ張られて読み進めると、(下)で全ての意図が明かされた時にあの時の表情の意味に気付くのです。ストーリー構成の無駄のなさ、そしてわずか3巻にまとめたのも高評価です。

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