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ミステリの祭典

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夢の器

作家 原民喜
出版日2018年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 SU
(2023/10/08 23:04登録)
表題作はどこかの病院に入院しているらしい露子の見ている夢の光景が映されていく。紙人形になっている先生、オットセイの恰好で蹲ったかつての優等生、額縁から出てきた小さな魔法使い。連なっていくイメージはいずれも蛍のごとく小さいけれど強い光を放っていて心奪われる。
少年が友達に宇宙の裏側の話をする「比喩」、夜の街を死者がそぞろ歩きする「玻璃」、もさもさという足音を立てる狐が出てくる「暗室」、故郷の風景を活写した「不思議」、物忘れのひどい語り手が電車の中でとりとめもなく過去の記憶をよみがえらせる「手紙」など、他の収録作も時代を越えて新鮮に感じるものばかり。混沌としていながら清潔で、物寂しく美しい。

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