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ミステリの祭典

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濡衣を着る男

作家 大谷羊太郎
出版日1990年05月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2023/09/30 01:52登録)
(ネタバレなしです) 大谷の作品では前半をサスペンス小説、後半を本格派推理小説という構成の作品がいくつかありますが、1990年発表の本書は主人公が探偵役でないためか彼(と読者)の知らないところで謎解きが進むプロットで、最後までサスペンス小説でした。謎解き伏線を回収しながらの推理説明があれば本格派としても評価できたかと思いますが、後出しの手掛かりに基づく説明に留まっています(個人的には残念)。父親の急死で若くして事業を継いだ主人公は目先の資金繰りに苦しむ羽目になり、資産家の留守宅に侵入して金を盗むことに成功します。それから事業が好転して十年が経過し成功者となった主人公があの事件で身代わりに逮捕されて有罪となった男に何とかして償おうとするのが前半の展開で、大きな事件が起きるのは後半になってからです。作中で主人公が根は善人で世間知らずのお人好しであることが何度も示唆されますが、この作者の人物描写力では読者の共感を得られるかは微妙な気がします(悪人はそれらしく描かれていますけど)。

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