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ミステリの祭典

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芙蓉の干城

作家 松井今朝子
出版日2018年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 ぷちレコード
(2023/09/27 22:27登録)
歌舞伎の殿堂・木挽座の近くで右翼結社の幹部とその愛人の他殺死体が発見された。その前日、澪子は木挽座で観劇の最中、死んだ二人が真向いの桟敷席にいるのを目撃していた。この事件と歌舞伎座の世界に関連はあるのか。
前々年には満州事変、前年には五・一五事件が起こるという不穏な世相の中、一方では右翼や軍部のきな臭い人間関係、一方では梨園の浮世離れした愛情の世界が繰り広げられ、そこに接点が生じたことから惨劇が続発する。歌舞伎の芸という大の虫を生かすために小の虫の犠牲はどこまで許されるのか。
ねじれた動機により次々と殺めてゆく犯人の屈折ぶりもさることながら、笹岡警部が祖先と似た選択を迫られた時に下した決断の非情さには戦慄とさせられた。

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