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ミステリの祭典

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錆びたブルー

作家 浅暮三文
出版日2006年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 猫サーカス
(2023/09/26 17:35登録)
主人公は、女を殺害し逃亡した男。家を捨て、名を捨て、ホームレスとなって暮らし始める。ゴミのような生活、おぼろげな記憶。それでも心配はない。男は神の目を持ち、神の声を聞くことが出来るのだから。だが、語られることのどこまでが現実で、どこからが妄想なのか判別できない。本当は何が起きたのかわからないまま、主人公と共に迷宮をさまようことになる。手掛かりは合間合間に挟まれる、「捜索についての推理・記録」と題された断片的な文章。一見、妄想を垂れ流す独りよがりな不条理小説のようだが、最後まで読むとミステリとして周到に計算されていたことが分かる。じっくり読めばよく出来た難解なパズルを独力で組み立てる快感が味わえるだろう。ただ、導かれた合理的な解決が真の正解かどうかは保証されない。ジーン・ウルフの短編を思わせる、企みに満ちた幻想本格ミステリ。

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