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ミステリの祭典

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清張とその時代
郷原宏

作家 評論・エッセイ
出版日2009年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 小原庄助
(2023/09/22 12:08登録)
清張が私小説の手法を得意分野とせず、もっぱら実生活とかけ離れたエンターテインメントの創造に興味の中心を向かわせていたのは間違いない。ではあるが、数は少ないが「父系の指」という私小説、あるいは自叙伝「半生の記」、エッセーなどに彼の本音が垣間見える。著者はこれらを詳細に読み込み、清張の本音が純然たるフィクション、いわば彼の十八番の仕事にどういう形で反映されてきたのか、検証するのである。
それだけではなく、実際に清張が生まれてから亡くなるまでの時代背景を見つめ直す。つまり個人史だけではなく、もっと大きな歴史の中に清張を置くことによって、この作家が大成した謎に迫ってもいる。
下積み時代を長年経てきた人が、どのようにして偉業を成し遂げ、人生の完成形を極めてきたか、その謎を探る本でもある。

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