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ミステリの祭典

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夜叉神山狐伝説
風よ、緑よ、故郷よ

作家 岩崎正吾
出版日1990年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2023/09/21 08:45登録)
(ネタバレなしです) 1990年発表の「風よ、緑よ、故郷よ」シリーズ第3作の本書は、あとがきで作者が「ミステリとして形式の違うものを書きながら」と説明しているように過去のシリーズ作とは大きく作風を変えての冒険スリラー小説です。峰の湯へ向かった源じいがいつまでも戻らないので刈谷正雄は探しに跡を追います。源じいは峰の湯には1泊しかしておらず、正雄は山へと踏み込みます。シリーズ第1作の「風よ、緑よ、故郷よ」(1988年)は田園ミステリーと評価されていますが本書は山岳ミステリーで、シリーズ第2作の「恋の森殺人事件」(1989年)以上に山の自然描写に力が入っています。山に出没する連続殺人鬼(正体は最初から明かされます)との対決をサスペンス豊かに描いていますが、里の人間である正雄と山の衆との間に育まれる交流が物語に潤いを与えています。

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