ノーサイド・ゲーム |
---|
作家 | 池井戸潤 |
---|---|
出版日 | 2019年06月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 1人 |
No.1 | 5点 | E-BANKER | |
(2023/08/13 13:25登録) 今さらの本作である。ちなみに地上波ドラマは番宣のたぐいも殆ど見ていません。 ただ、本作を読みながら、読んでる途中も米津玄師が頭から離れませんでしたが・・・ 単行本は2019年の発表。 ~未来につながるパスがある。大手自動車メーカー・「トキワ自動車」のエリート社員だった君嶋隼人は、とある大型買収案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長へ左遷させられ、同社ラグビー部のアストロズのGM(ゼネラル・マネージャー)を兼務することに。かつて強豪として鳴らしたアストロズも今は成績不振に喘ぎ、鳴かず飛ばずの状況。巨額の赤字を垂れ流していた。「アストロズを再生せよ」。ラグビーに関して何の知識も経験もない、ズブの素人である君嶋がお荷物社会人ラグビー部の再建に挑む!~ これは、もう、池井戸潤の純正フォーマットである。今まで何度も接してきたフォーマット。 これだったら、別に本人でなくとも誰でも書けるような気がしないでもない・・・ それでも、そこかしこに感動ポイントは組み込まれている。特に圧巻は、最後のアストロズVS宿敵サイクロンズの天王山の戦い。 浜畑が、七尾が、佐々が、アストロズの勝利に向かって全力でプレイする(きっと、地上波を見ていた方なら、あの一場面が頭の中にプレイバックしているのでしょう)。まるで、目の前で見ているかのような臨場感。もう、さすがの筆力を感じてしまう。 そして、いつものように企業内の権力争いも本作の重要なピースになる。 ただし、「半沢直樹シリーズ」ほどのクドさがないところは、逆に食い足りなくて、今回の悪役となる常務取締役もアッサリと白旗をあげてしまう・・・ まぁさすがにこのフォーマットも食傷気味にはなってくるよなぁー プロットの二番煎じ感もあるので、作者にとっても踏ん張りどころかもしれない。 読者にとっては安心して楽しめるという利点はあるのだけど・・・ いずれにしてもラグビーW杯も近づくこの時期、ラグビーというスポーツのメジャー化に一役買ったのは間違いないところだろう。それだけでもスゴイ気はする。 (やっぱりラグビーは「キング・オブ・スポーツ」だと思う) |