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ミステリの祭典

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黒の狩人
狩人シリーズ

作家 大沢在昌
出版日2008年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 びーじぇー
(2023/08/02 19:46登録)
主人公は新宿署の組織犯罪対策課に所属するマル暴担当のベテラン刑事。ある日、署のトップや本庁刑事総務課の課長、公安エリートらが居並ぶ席に呼び出された彼は、この連続殺人事件の捜査を言い渡される。
だが、その際に通訳という役割で、一人の中国人を補助捜査員として帯同するように命じられるのだった。しかし、その男は中国国家安全部のスパイであることもわかっており、それを踏まえたうえでの捜査であった。
つまり冒頭から、虚と実が入り交じった展開なのである。とはいえ、自らを「カス札」と自嘲する刑事にできる仕事は、普段通りのやり方で犯人に迫ることだけだった。かくして二人は、奇妙な形の「相棒」となって事件の渦中に飛び込んでいく。
本質的には極めてまっとうな刑事小説でありながら、そこに中国マフィアと日本のヤクザの暗闘や、国家間の政治的駆け引き、情報などが入り乱れ、国際謀略小説風の雰囲気も加味されていくのだ。これこそが都会が映す、現代社会の矛盾なのだろう。作者はそうした状況を饒舌に語りながら、さらに男同士の友情という古典的なテーマを背景に置いている。

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