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ミステリの祭典

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狼と香辛料
狼と香辛料シリーズ

作家 支倉凍砂
出版日2006年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/07/29 22:41登録)
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが―。第12回電撃小説大賞"銀賞"受賞作。
Amazon内容紹介より。

ラノベファンでこの作品を知らぬ者などいない程の超有名作。確かに良作だと思います。ファンタジー要素はあまりなく、凡百のラノベとは比較出来ないレベルの作品。物語自体は地味でバトルシーンも少なく、経済や商業取引といった要素を取り入れた異色のライトノベルと言えると思います。行商人であるロレンスの商いの相手との駆け引きや、銀貨の価値変動を見据えた先物取引の様なやり取りは、それだけでもなかなか面白いです。

が、何と言っても本作の魅力を支えている8割がホロのツンデレぶりで、残りの2割がロレンスのリアクションと言えましょう。何故か花魁もどきの言葉遣いのホロがたまに本音を吐いて、心中を見せるシーンなどは心に刺さるものがあり、ついつい感情移入してしまいます。ロレンスがホロの言動に振り回されながらも、次第に惹かれていく心理描写も上手く、この二人の微笑ましい交流を読むだけで、心癒されるものがあります。
流石に24巻まで続いたシリーズだけのことはあったと思いますね。まあ作者もこれだけ永く続くとは思っていなかったでしょうけど。

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